ある事務屋の戯言

青二才が思ったことを口にするブログ

企業がなぜ、データ改竄を行うのか

早速本日書いてみることにする。

 

数日前からKYBという油圧機器メーカーの、免震・制振オイルダンパーの検査データの改竄が話題となっている。

 

その中で、毎日新聞の以下の文章に目がついた。

 

免震・制振オイルダンパーで国内トップシェアのKYBで不正が発覚、昨秋以降発覚した日本のものづくり企業の不正に終わりが見えない。背景には、コンプライアンス(法令順守)への低い意識、現場任せの品質管理、納期主義といった共通の問題が横たわる。

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 品質不正を巡っては昨秋以降、神戸製鋼所三菱マテリアル東レ日産自動車、SUBARUなど日本を代表する製造業で続出した。過去、厳格な基準に対応してきたという安全性への過信が共通。政策研究大学院大学橋本久義名誉教授(企業論)は「日本では国や企業の品質基準が高いという意識があり、少々基準を下回っても安全だという現場の甘い認識が不正の裏側にある」と指摘する。

 またKYBでもこれまで不正が発覚した企業同様、甘い企業統治が不正の温床となっていた面がある。中島社長は会見で「現場で異常があれば上司に報告することを徹底してきた」と強調したが、不正発覚は検査と関係ない従業員の指摘がきっかけ。検査現場では不正が日常化し、改ざんの手法などは検査員の間で「口頭で脈々と受け継がれてきた」といい、経営幹部の管理体制は不十分だった。

 不正は少なくとも検査データが残る2003年1月から続いており、この間、05年の元1級建築士による耐震データ偽造事件や15年の東洋ゴム工業の免震偽装、旭化成子会社のくい打ちデータ改ざんなどが次々と明らかになったが、KYBでは不正を自ら断つ自浄作用は働かなかった。組織のガバナンス(統治)に詳しい久保利英明弁護士は「ものづくりの原点である『品質第一』の発想が『利益第一』に変わり、自己の(不正)行為を正当化している」と指摘する。品質管理を後回しにする組織体制を変えない限り、信頼を取り戻すのは難しそうだ。*1

文章を読むと、品質管理を犠牲にしてまで利益第一に傾倒した結果、改竄を行ってしまった製造業の会社が一方的に悪であるという論調で書かれている。

確かに、品質管理体制に問題があった事は改竄の原因の一つであるだろうが、それが全てとは到底思えない。

すなわち、製造業社の契約相手方もまた企業である事が多く、相手方からの無理な注文に応えなければ契約が取れない、利益が上がらないという点も原因としてあるだろう。

納期ありきの契約を営業が持ってきて、それに合わせた品質管理を行う。この悪循環を断つ為には製造業単独の努力では到底成し遂げられない問題であるように思う。

 

データ改竄を行った製造業者は悪だが、製造業者もまた、被害者なのである。